二酸化炭素(英: carbon dioxide)は、炭素の代表的な酸化物であり、地球環境の気候バランスから日々の産業活動まで極めて重要な役割を果たす化合物です。「シーオーツー」とも呼ばれ、温暖化対策における「カーボンニュートラル」などの基点となっています。
二酸化炭素は温度と圧力によって様々な形態をとり、身近なところで活用されています。
常温常圧では無色・無臭の気体。空気より約1.5倍重く、水にもある程度溶解します。
常圧では液体を経ずに直接昇華(昇華点 約-78.5℃)するため、冷却用として広く普及しています。
加圧下で存在。工業用ボンベや超臨界抽出、溶接用シールドガス供給などに用いられます。
二酸化炭素が水に溶けると一部が炭酸(H₂CO₃)となり、弱酸性を示します。飲料や入浴剤で馴染み深い形態です。
二酸化炭素は生命を維持する適温を保つ不可欠な気体である一方、急激な濃度上昇が温暖化を招いています。
二酸化炭素は大気中の赤外線を吸収し、地球の平均気温を生命が生息できる約15℃に保つために必須の「温室効果ガス」です。もし温室効果がなければ、地球の平均気温は氷点下(約-18℃)になるとされています。
化石燃料の燃焼や森林減少などにより大気中濃度が産業革命前の約280ppmから420ppm超へと急上昇しています。これが過剰な温室効果をもたらし、地球規模の温暖化や異常気象の主因となっています。
環境対策で用いられる「カーボン」は二酸化炭素由来の炭素を指します。排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」や「脱炭素社会」への移行が世界共通の最重要課題となっています。
二酸化炭素は温室効果ガスの総排出量を算定する際の「世界共通の換算基準指標(CO₂換算:CO₂eq)」としても用いられます。メタンやフロンガスなどもCO₂を1とした地球温暖化係数(GWP)で換算集計されます。
※ 日本における2014年度の温室効果ガス総排出量は約13.6億トン(CO₂換算)として算出されました。
高圧ガス保安法容器保安規則第十条により、二酸化炭素(液化炭酸ガス)の容器の色は「緑色」と定められています(酸素=黒、水素=赤、アンモニア=白など)。
飲料から工業溶接、そして太陽系の他の惑星の大気まで多岐にわたる二酸化炭素の姿。
炭酸飲料やビールへの圧入、食品の酸化防止包装用ガス、さらにドライアイスによる生鮮食品や医薬品の冷凍輸送に不可欠です。
金属溶接(MAG溶接)時のシールドガス、炭酸カルシウム製造、超臨界抽出法を用いたカフェインレスコーヒーの製造などに利用されます。
不燃性かつ空気より重い特性を活かし、酸素を遮断する二酸化炭素消火設備として、水を使えない電気室や美術館・資料室等に設置されます。
金星の大気は約96.5%、火星の大気は約95.3%が二酸化炭素で構成されています。特に金星は超濃厚なCO₂大気により強力な温室効果が生じ、地表温度は約460℃に達します。
二酸化炭素の主な物理的・化学的性質の一覧
| 名称 | 二酸化炭素(炭酸ガス) / Carbon Dioxide |
|---|---|
| 化学式 | CO₂ |
| モル質量 | 44.01 g/mol |
| 外観・臭気 | 無色・無臭(高濃度では刺激臭) |
| 昇華点(常圧) | -78.5 ℃ (194.65 K) |
| 密度(気体・0℃, 1atm) | 1.977 g/L(空気の約1.53倍) |
| 日本のボンベ識別色 | 緑色(高圧ガス保安法容器保安規則) |
| 温室効果係数 (GWP) | 1(基準値) |